チエホフの言葉

 チエホフはその手記の中に男女の差別を論じている。――「女は年をとると共に、益々女の事に従うものであり、男は年をとると共に、益々女の事から離れるものである。」
 しかしこのチエホフの言葉は男女とも年をとると共に、おのずから異性との交渉に立ち入らないと云うのも同じことである。これは三歳の童児と雖もとうに知っていることと云わなければならぬ。のみならず男女の差別よりも寧ろ男女の無差別を示しているものと云わなければならぬ。



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