武者修業(草稿との比較)

青空文庫版草稿
 わたしは従来武者修業とは四方の剣客と手合せをし、武技を磨くものだと思っていた。が、今になって見ると、実は己ほど強いものの余り天下にいないことを発見する為にするものだった。――宮本武蔵伝読後。

武者修業ということは修行の為ばかりの旅だったであろうか?僕は寧ろ己自身以外に余り名人のいないことを確める為だったと思っている。少くとも武者修行の甲斐があったとすれば、それはたとい偶然にもせよ、余り名人のいないことを発見した為だったと思っている。

(出典)(株)岩波書店発行(1997年)・芥川龍之介全集・第21巻・429頁
サイト制作者注(1):この草稿には表題がありませんが、その内容から「武者修行」の項との比較ページを作成しました。
サイト制作者注(2):仮名遣いを新仮名遣いにし、一部に振り仮名を付けました。

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