わたしの愛する作品

 わたしの愛する作品は、――文芸上の作品は畢竟作家の人間を感ずることの出来る作品である。人間を――頭脳と心臓と官能とを一人前に具えた人間を。しかし不幸にも大抵の作家はどれか一つを欠いた片輪である。(尤も時には偉大なる片輪に敬服することもない訣ではない。)



次(「虹霓関」を見て) 目次 モード変更